喜多流
所作に宿る精神性
能とは
能は、日本で最も古い舞台芸術であり、詩・音楽・身体表現が六百年以上の歳月を経て磨かれた、崇高な芸術です。
ゆるやかで精緻な所作、声楽のような謡、そして優美な能面。派手な演出で はなく、静けさの中に深い情感と精神性を宿す表現が特徴です。
もとは武家社会において鑑賞され、一歩・一息・一音に、精神の研ぎ澄ましと芸術性が込められる。
心を整え、感性を磨く修道としての芸能でもあります。

喜多流について
喜多流は、喜多七太夫長能(1586–1653)により開かれました。
幼少期より非凡な才能を示し、「羽衣」を豊臣秀吉の前で舞って名声を得たと伝わります。
のちに秀吉に仕え、洗練・強さ・情感の深さを併せ持つ独自の芸風を築きました。
大坂夏の陣後、徳川将軍家に招かれ江戸に移り、他の四座と並び立つ能の一派として公認されました。
喜多流は、躍動感と気品ある所作、透明感のある謡を特徴とし、静と動の調和、抑制と解放の間に宿る美を体現しています。
体験内容
本体験では、喜多流能の世界を2つの基本稽古から学びます。
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仕舞(しまい):姿勢・立ち方・重心を磨き、静の力を体感する舞の稽古
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謡(うたい):呼吸と声を整え、内なる響きを養う発声法
一つの静かな動き、一つの深い呼吸が、心を澄ませ、感情と精神を研ぎ澄ます世界へと導きます。
能は、古典にとどまらず、現代にも通じる心の鍛錬であることがわかるでしょう。
服装は自由です。稽古用の足袋をご用意しています。
特長
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プライベートまたは少人数制
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英語通訳対応
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初心者歓迎
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足袋など必要なものはご用意します
ご案内
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所要時間:約2時間
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服装:自由(動きやすい服装でお越しください)
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事前予約制
講師紹介
塩津 圭介
喜多流能楽師
1984年、喜多流の重鎮である塩津哲雄の長男として東京に生まれる。
三歳で初舞台を踏み、能が日常にある環境で育ち、伝統の稽古と精神性を自然と身につける。
能の道のりは決して平坦ではなかったが、「演者と観客の心がふっと一つに結ばれる瞬間」に深い感銘を受け、その幽玄の力に魅せられて能の道を志す。
現在は、家伝の芸を継承しながら、謙虚な姿勢と真摯な探究心をもって舞台に臨むとともに、古典に宿る美と精神性を現代の観客に伝えるべく活動を続けている。
普遍的な心の動きと静かな集中を学ぶ場として、能の体験を世界へと届けている。






